機動戦士ガンダムUC

ちょっと前になりますが、機動戦士ガンダムUCのアニメ版が良かったので、原作の小説の方も読んでみました。

カテゴリー的にはライトノベルではなく、SF小説ですね。文章の量や、量辺りの情報量が多いなど、密度が高めなので、しっかりした読み応えがあります。

まあ、今更な感じはありますが、今だからこそちょっと書いておこうと思いました。詳しくは続きから。

ストーリー的には、大筋はアニメと同じですが、一部は異なる展開もあり、何よりアニメでは時間的に入りきらずカットされたシーンが充実しているのが良いですね。

原作を読んでからアニメを見るか、アニメを見てから原作を読むか、どちらでも良いとは思いますが、両方見て読んだ方がより楽しめると思います。

アニメでは、何故そうなったか理解し辛いシーンについて、原作は背景を細かく書いてあり、特にダカールでのロニ、カークスについては原作の方が多少の救いがあります。

逆に、描写が容赦ない分、アニメより気分が悪くなる部分もあるため、好みによる部分もありますが、彼ら・彼女らが何故そうするのか、そうであるのか、について深く知る事が出来るので、より思い入れを強く見る事が出来るようになります。

さて、本作は対立や断絶であったり、あるいは既存の体制や構造を維持するための抑圧などが話の根幹にあり続けます。

地球の人口を減らすため、宇宙開拓という名目で棄民政策を行い、地球に住む人と宇宙に住む人で与える権利に制限を行い、その結果として本作での「袖付き」というテロリスト集団を生み出します。

テロというのは行為としては最悪ですが、しかし一方で、そういう手段でしか世間や社会に訴える為の手段を持つことができない、そうした状況を作り出したのもまた地球連邦である、という事が、彼らに晴らせない恨みを抱かせ続けます。

アニメでは描かれていませんが、地球は地球で、やはり表面化では服従し消えかけたかのように見えた民族問題が、新たに再燃するシーンがあります。

主人公のバナージは、話が進むうちにそうした相容れない価値観や立場がある事を知り、しかし「それでも」と分かり合える道を求めて、進めていきます。

理想のおじさんと言っても過言ではない、「袖付き」のジンネマンも、打ちのめされ、諦めと晴らせない恨みに捕らわれていた中で、「それでも」と言い続けるバナージを始めとする若者たちに可能性と希望を見いだし、再起してその背中を押していきます。

暴力、差別、弾圧といったものは、世の中から無くすべきものでありますが、ただ無くそう、というのは簡単であっても、実際に無くすのは難しい事です。

それにはやはり、それぞれの譲れないものと、それを他人と相容れないものにしてしまっているのは何なのか、譲れないものを大事にしつつも、相容れるようにするためにはどうすれば良いのか、という事を知る必要があります。

本作では、そうした過程が丹念に描かれており、誰もかれもがやはり人なのであり、だからこそ複雑で、思い込みとは異なり実際に知ってみると、お互いを尊重しなければならない事を思い知らされます。

当然、ガンダムなのでフィクションですし、現実よりも綺麗でデフォルメされていますが、だからこそ分かりやすく、私とあなた(たち)の違いというものを、考える事が出来ると思います。

単なる勧善懲悪で片付く対立ではなく、複雑な相容れないが故の対立の物語は、そうした問題を考える上で参考になると思うので、アニメじゃちょっとなぁ、という方は本書を読むと良いですし、本じゃちょっとなぁ、という方はアニメの方を見てみると良いと思います。

余談ですが、アニメの最終エピソードはその後Blu-Rayで買って、三回ほど見るくらいに両方ともはまりました(笑)。


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